No.24 年の瀬の花屋
年の瀬の花屋
東京の年の瀬が好きだ。
普段は急いで通り過ぎる道を、
帰省の大きな荷物を抱えた人や
いつもよりちょっと良い肉を買う家族連れが、
気持ちゆっくりめに歩いているのを見るのがとても好き。
街の人口密度が低くなって、道で1人が占有できるスペースが広くなるのと同時に、
人の気持ちのゆとりも、花を買おうと思えるくらいにはできるよう。
花屋には正月用の花だけでなく、小さなブーケが並んでいた。
クリスマスに買う花が誰かのための花なら、
年の瀬に買う花は自分のための花だと思う。
よいお年を、とお互いに言い合って、
まだ本当はやらなきゃいけないことが残っていたり、全てを年内に折り合いつけることができていなくても
とりあえずはそう言い合ってお互いを労う街の人たちを見て、
やっぱり東京が好きだなと思った。
来年もここで生きていきます。
よいお年を。