No.25 大雪の夜
大雪の夜
いつも東京が台風か大雪に見舞われると、
「これをきっかけに何組が付き合うに至るんだろう」
とふと考える。
オフィスは「帰れる」「帰れない」でなんだか落ち着かない。
歩道は徒歩帰宅を決意した人たちで溢れて、
みんな雪の中を同じ方向を向いてひたすら歩いていく。
電車もバスもタクシーも気の遠くなるような行列。
いつもと違う時間に、違う手段で、違う道で帰る人たちの群れ。
日々のルーティンが崩されるこの日のこの時間に、
何組の人たちが昨日とは違う関係性になったのだろう。
それは雪道で転んだところを助け起す手かもしれないし、
「タクシー、よかったら相乗りしませんか」の一言かもしれないし、
「今日ちゃんと帰れましたか?」のLINEかもしれない。
大雪が影響を及ぼすのはきっと交通網だけじゃないから、なんだか嫌いになれないのだった。